Bリーグ千葉ジェッツ・ハーフタイムショー出演ライダー紹介とその舞台裏

2019年3月23日(土)、3月24日(日)に船橋アリーナで行われた、鎌ケ谷巧業PRESENTS、男子バスケットボールB-LEAGE 千葉ジェッツふなばしv.s.秋田ノーザンハピネッツのハーフタイムショーに出演したライダーを、改めて詳しくご紹介します。


また、前回の記事に引き続き今回もディレクターを務めた継松の手記も併せてご紹介します。

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▶永井 秀夫(ナガイヒデオ)MTB JUMP

マウンテンバイク(MTB)に赤いフルフェイスヘルメットのライダー。

1991年9月生まれ。大阪府出身、大阪府在住。
Instagram:hideo_2332

 MTBダウンヒルライダーを経て、今回のジャンプ台設営を担当した林正典とともに、2014年、BMX、MTBによるジャンプショーを行うJumpersStoreを結成。クラウドファンディングによりジャンプ台をより移動に適したものにすることに成功し、日本各地でショーに主演中。日本で初めてMTBによるフロントフリップ(前回り)に成功したライダー。

 前回も、千葉ジェッツふなばしさんは、ゴールの上部に設置されているスクリーンにAIR TRICK SHOWを映し出してショーを盛り上げて下さいました。今回は場内だけではなく、永井のヘルメットに取り付けた小型カメラの映像もリアルタイムでスクリーンに映し出すという、臨場感あふれる企画を準備して頂きました。


 小型カメラの映像をリアルタイムでスクリーンに映し出す。


 その為に永井は、小型カメラに有線でつながった送信機を背負って飛ぶ必要がありました。

 永井は、さらに、千葉ジェッツブースターの皆様から送信機と配線を見えないようにする為、上着を羽織って飛ぶことを選びました。いつもに比べるとどうしてもぎこちなくなってしまうジャンプに、ハーフタイムショーでもう一度飛ぶことを念願していた永井が満足していないことは明らかでした。

 スクリーンに映っているのが、永井のヘルメットに付けられたカメラに映し出された映像です。ライダー達がジャンプ台に飛び込んでいく速さ、ジャンプの高さがありありと伝わります。自分達の前で飛んでいるライダーが実際に見ている光景を目の当たりにした観客の盛り上がりは、船橋アリーナが揺れているのではないかと思う程のものでした。

 ショーが終わった後の控室で、ハーフタイムショーの様子を撮影した動画を見た永井は、ぽつりと「送信機背負って良かった。」ともらしました。


 「こんだけお客さん喜んでくれはったんやったら。大変やったけど、良かった。」



▶西 昂世(ニシ タカセ)BMX JUMP

白いアウターに黒いパンツ、黒いヘルメットに黒いBMXと、モノトーンコーデでまとめていたライダー。

1987年5月生まれ。三重県出身、三重県在住
Instagram:westbmx

 2018年全日本BMXフリースタイル・パーク選手権大会チャンピオン。幼少からBMXに乗っていたが、今回一緒に出演した大西勘弥と出会いパークライドを始める。国内有数のランプビルダー(ジャンプ台、着地台の製作者)でもあり、今回使用されたジャンプ台も西の手によるもの。

 1日目を大成功に終え、迎えた2日目のリハーサル。
 

 西の様子が、いつもとほんの少し違いました。

 今回、ブースターの皆様が入場される本当に直前に、千葉ジェッツさんの計らいで、30分間のリハーサルの時間を頂くことが出来ました。コートの上では照明の最終確認が行われ、場内案内係のスタッフさんが配置を確認している中でのリハーサルです。


 集中できなくてもおかしくはない、と思われるかもしれませんが、西にとっては珍しいことでした。彼はどんな環境であっても、自分のペースを崩さずにベストを尽くせる、稀有なライダーなのです。


 尋ねてみると「ジャンプ台の位置が昨日と違う。」という答えが。

 2日目はショーの内容が変わり、それによってジャンプ台の設置位置が少々変わってしまったようです。しかし、変わったことに気付いたライダーは西だけでした。どれだけ正確な距離感覚を持っていて、また、それを身体で覚えることが出来る能力を持っているのでしょうか。

 リハーサル後、設置位置が変わったことに間違いない事をスタッフに確認し、自分の感じた違和感が正しかったことを確かめた西は、本番ではきっちりと距離感覚を修正していました。


 精密さと現場に対応する能力の両方を併せ持つ、プロフェッショナルならではの姿を垣間見た瞬間でした。


▶大西 勘弥(オオニシ カンヤ)BMX JUMP

1日目はブルーのTシャツ、2日目はブラックのTシャツにGパンで飛んでいたBMXライダー。

1984年8月生まれ。岐阜県出身、岐阜県在住。

Instagram:kanyabmx

 2016年に初めて開催された、全日本BMXフリースタイル・パーク選手権大会の初代チャンピオン。パークライドを始めたのは18歳から。今回の出演メンバーの中では最年長。

 「じゃあ、帰るね。」  


 2日目のハーフタイムショーも無事終わり、終わらないのではないかと思うほど沢山のお客様に並んで頂いたサイン会も終わった後。控室に戻ったカンヤはあっという間に荷物をまとめると、すぐ近くの宿泊先に戻るかのようにさらっと言いました。


 「これから岐阜県に帰るよ。オレ、明日仕事だから。」

 

 一昨年の全日本チャンピオンは、サラリーマンなのです。船橋アリーナを出て、日付が変わる頃になって自宅に無事到着。千葉ジェッツブースターの大半の皆様と同じように、翌朝には出社しました。

 カンヤの得意とするトリック、スーパーマン。彼そのもののようだ、と思うのです。


 いつもは普通の人として生活しながら、コンテストやデモンストレーションの時にはスーパーマンになるのです。

 小柄で華奢に見えてしまいますが、かなり引き締まった身体の持ち主でもあります。現場からあっという間にいなくなってしまうところも、イケメンなのにとても照れ屋なところも、スーパーマンの主人公、ケント・クラークのようなライダーなのです。


▶高木 聖雄(タカギ トシオ)BMX JUMP
ブラック×ホワイトのストライプのウェアに黒のフルフェイスヘルメットのBMXライダー。

1989年7月生まれ。岐阜県出身。愛知県在住。

Instagram:toshiobmx

 BMXと出会ったのは14歳の時。全日本コンテスト(PerugiCup)で2011年から4年連続チャンピオンを獲得。2020年の東京オリンピックに向け、国内外のコンテストに精力的に参戦している。

 「パーツ、一個、飛んで行っちゃった。」


 リハーサルを終えたトシオが放った一言に、チームの全員が驚きました。あれ?と思う瞬間はあったものの、彼はごく普通にダイナミックにド派手に飛んでいたのですから。

 

上が本番の写真、下がリハーサル時のもの。同じように飛んでいるように見えます。

 何故リハーサルを中断しなかったのかと尋ねられたトシオは、


 「ハーフタイムショーの最中に同じことが起こっても、飛べるようにと思って。」

 

 と、あっさりと答えました。どんなことがあっても、トシオにはライドしないという選択肢はないのです。

 ショーを終えたライダーの周りに駆け付けた子供たちとハイタッチを交わすトシオ。彼は次の世代の為の環境づくりやBMXスクールにも力を入れています。

 2020東京オリンピックが近づき、「熱い男」トシオがメディアに取り上げられることが増えてきました。4/19から広島で開催されるFISE WORLD SERIESにも参戦予定です。


▶佐々木 元(ササキ モト)BMX FLATLAND

1985年5月生まれ。千葉県松戸市在住。

Instagram:motosasaki

 日本を代表するBMXフラットランド選手。FISE WORLD SERIES2018フランス大会3位、中国大会準優勝。史上最多の全日本選手権ラウンド優勝記録保持者。


 2010年、2011年にはBMX界で最も権威のあるアワード“NORA CUP”をアジア人初の2年連続で受賞している。

 謎の覆面キャラクター、マスク・ド・オッチーさんと戯れるモト。日本を代表するBMXフラットランドライダーは、今回のAIR TRICK SHOWチームのムードメイカーでもありました。


 ぼくものってみたい!というジャンボ君に、自転車を貸してくれたのもモトでした。

 本番を待つ舞台裏でも楽しんでいる姿は、リハーサルの時、フラットランドに適しているとは言えない滑りやすいフロアに苦戦していたようには見えません。

 ハーフタイムショー開始と同時にコートに走り出て、一番にパフォーマンスする大役を担っていたモト。彼が5000人を超える観客の視線を一手に引き受けてくれている後ろで、スタッフはジャンプ台を設置していました。

 住まいのある松戸から船橋まで、思ったよりも時間がかかって集合時間に送れたと思ったら、翌日は早く着きすぎて、スタッフが打ち合わせをしている隣でポツンと座っていたり。サイン会で0歳児を連れたお客様に「ウチの子8カ月なんです!!」と話しかけていたり。


 この親しみやすさと、勝利に固執し怪我をも厭わない精神力が共存しているのが、モトの魅力なのだと思います。



▶西窪 友海(ニシクボ トモミ)BMX TRIAL

1992年5月生まれ。奈良県出身、東京都在住。

Instagram:tomomi_nishikubo

幼少から始めたオートバイのモトクロスから自転車競技のバイクトライアルに転向し、2016,17年と連続でトライアル全日本チャンピオンを獲得。ショーやYouTubeも積極的に行っている。日本初のトライアルとパルクールのショーチーム "SHIBUYA NINJA"のチームリーダーを務める。


▶MIDORI(木本 登史/キモト タカフミ)PARKOUR

1994年10月生まれ。愛知県出身、愛知県在住。

Instagram:midorichann

パルクールとの出会いは17歳のとき。大学在学中にデンマークにあるパルクール専門学校に留学した経験を持つ。2018年に開催された第一回全日本パルクール大会スピード部門チャンピオン。地元名古屋でパルクール教室を運営。自主制作動画「オタクパルクール」の累計再生回数は300万回を越える。

←西窪友海/MIDORI→

 2日目のAIR TRICK CIRCUSに出演した、日本初のBMXトライアルとパルクールのショーチーム「SHIBUYA NINJA」の二人。

 広いコートの中を駆け回り、まさしく忍者のようなパフォーマンスを見せてくれました。


 ▶ディレクター、継松彰宏の手記


 BMXというものをほとんど知らないバスケットボールファンの前で、ライダーたちが技をメイクする。


 その度に湧き上がる歓声は、たまらなく気持ち良く、刺激的なものでした。


 普段僕は、自転車競技を中心に選手たちを撮影、取材する側で、様々な会場に足を運んでいますが、このような歓声を聞くことはほぼありません。


 日本一を決める全日本選手権でさえ、会場に1000人単位で人が集まることはなく、国際大会でないと、その光景には出会えないのが現状です。

 

 それでも、多くの人に選手たちの魅力を知ってもらおうと活動を続けてきました。今回千葉ジェッツふなばしさんのハーフタイムショーでAIR TRICK SHOWを行うという機会をもらい、ショーのディレクターという立場を任され、改めて気づかされたことが沢山あります。


 まず言えることは、今回出演したライダーたちのプロフェッショナルさ。

 リハーサルは、当日の朝の30分のみ。


 ぶっ付けに等しい状況の中で、決められたタイミング、決められた時間の中で、しっかりと技をこなし、観客の心をしっかりと掴む姿に、プロ選手としてのかっこよさを見せつけられました。


 ジャンプのライダー4選手は、スタンバイしている場所とコートの間に得点板があるために、ほぼコートが見えない状況でした。それでも、僕が出すゴーサインの合図と同時に、1ペダル目から全力で漕ぎ始め、光り輝くコートに突入していく。その姿には、自ら送り出しながら痺れていました。

 フラットランドの佐々木元選手は、初日のショー序盤でなんと靴紐がタイヤに絡むというアクシデントがありました。それでも、そんなことは誰にも気づかれることなく、スーパーランをメイク。


 ショーが終わって、「いや、まじ焦った」と笑いながら振り返る元選手の姿に、ミスのできない勝負の世界で数々の経験を乗り越えてきた凄みを垣間見ました。


 そして、トライアルのトモミ選手とミドリ選手はファンを喜ばすことに貪欲で、事前から入念に当日のイメージを行い、与えられた短い時間でしっかりと観客の心を掴んでいる姿にプロのパフォーマーとしてのあるべき姿を見ました。

 

 そして、もう一つ気付いたことは、日本を代表するライダーたち本来の魅力は、光をあびてこそ、さらに輝きを増すということ。

 ライダーたちは皆プロフェッショナルですが、まだまだその魅力は、十分に伝わってないのが現状です。それでも、そのパフォーマンスを一度目にすれば、BMXを見たことのない5000人のファンを魅了できるのです。


 ただ、そこには、単に見てもらうだけではなく、いろいろな掛け算が必要で、それ次第で彼らのパワーを何倍にも引き上げることができるということを体感することができました。


 今回でいうと、まずは国内プロスポーツとして今最も勢いのあるバスケットボールの国内最高チーム「千葉ジェッツ」との掛け算。会場に集まった観客は、ほぼ全員がジェッツを愛する応援団。

 その愛すべき千葉ジェッツが僕たちをハーフタイムショーに送り出してくれたということで、千葉ジェッツブースターとの結びつき、親近感を与えてくれました。


 さらに、エンターテイメントに力を注ぐ千葉ジェッツの舞台装置を全て使用させていただくことができたことで、演出との掛け算も加わりました。音楽、映像、照明、炎。そして、無くてはならないMCワダポリスさん。


 2日目に挑戦させてもらったプロジェクションマッピングの演出は、自転車界にとっては日本初の試みだったことは間違いないでしょう。

 初日は5分半、2日目は9分半。決して長い時間ではないですが、ライダーたちのパフォーマンスを凝縮させ、魅力を引き出すために、音楽や映像を作り込み、結果、チームとして全ての掛け算をはめ込むことができました。


 成功だったかどうかは、終了後のサイン会に並ぶ長蛇の列が物語っていました。延々と続く列は、千葉ジェッツブースターが選手たちのパフォーマンスに心を奪われた証拠です。ここまでの列は、僕自身は見たことがありません。(※終了後の富樫選手との写真会で並ぶ列を見たら、、脱帽しましたが。)

 ただ、選手たちはこれまでもずっとプロフェッショナルで戦い続けてきて、その魅力はずっと変わっていません。


 いろいろな掛け算をもってすれば、たった10分で5000人を魅了できる潜在能力を持っていることが証明されたことになります。


 こんなチャンスは常にあるわけではありません。ライダーたちは結果を出すことでこの状況を手にするべく、日々、練習に励んでいます。


 そんなライダーたちにもっと輝き続けてほしい。

 

 長蛇の列を眺めながら、そんな思いが改めて強くなりました。

 そして、僕が抱いてる思いは、おそらく今回のショーチーム全員が共通して抱いてる思いであり、それが一致していたからこそ、ショーの成功につながったのかなと、改めて最後に気づかされました。

(Write & Photo by May Nagoya)

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